2011年04月25日
Vol.1-1
僕はすべて知っていた。
しかし、僕は生まれたばかりの小さな猫で
目も見えず、寒さにふるえ、心もとないばかりで
ただ、鳴くことしかできなかった。
ひたすら母のぬくもりを求めて鳴き続けたが、
いたづらに時は、過ぎていくばかりで
鳴く力さえ尽き、運命の中に身を委ねていく・・
・・・・・・
もうろうとした意識のどこか遠くで
一匹の犬に導かれて、一人の人間が近寄り
僕を抱き上げ、その胸に抱きとめる。
そして、その暖かさをおぼろに感じる。
そうして、手厚い看護をうけ
僕は、小さいながらも、
猫としての生命をこの世にとどめることができた。
Posted by えんめい茶本舗 at 15:30│Comments(0)
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